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入試や資格、検定など、試験を取り巻く環境も時代の変化にともなって変わりつつあります。従来一般的な試験方式の1つであったPBTも、CBTやIBTといった他の方式と比較され採用の可否を検討されるようになっています。これらは試験関係者にはお馴染みの用語かもしれませんが、一般的にはわかりにくいでしょう。
ここではPBTがどんな試験方式なのか、CBTやIBTとの違いやメリット・デメリットについて解説します。
1.PBTは紙ベースの試験方法
PBTとは、「Paper Based Testing」の略称であり、紙媒体をベースとした試験方法のことです。試験といえば多くの人が思い浮かべるであろう、問題用紙と解答用紙を使ったごく一般的でアナログな試験方法を意味しています。PBTという用語は、CBTやIBTといったデジタルな試験方法を表す用語が現れたことで、それらの試験方法と対比するために生まれたものと考えられます。紙ベースの試験といっても、解答用紙に記述する方式は少なくなっており、主流は択一問題中心のマークシート形式となっています。
PBTは、多くの入試、各種検定試験、資格認定試験などで幅広く採用されている馴染み深い方式です。受験者は試験会場に赴き、大人数で同時に問題用紙・解答用紙を使って試験を受けます。鉛筆を使って解答を記述あるいはマークシートにマークし、一括で採点および集計を行います。大規模な試験であれば複数の試験会場を用意し、期日と時間を統一して全国一斉に開催するため、受験をするための申し込み期間が決まっているのです。
2.PBTとCBTとの違い
CBTとは「Computer Based Testing」の略称です。紙や筆記用具を用いず、パソコンを使って問題に解答する試験方法です。PBTと同様に試験会場で試験を受けるため、受験者の人数分のパソコンを用意しておく必要があり、受験者側にも最低限のパソコン操作スキルが求められるのが特徴です。基本的に筆記用具を使うことはありませんが、メモ用紙への記入などに必要な場合もあります。
PBTと比較すると、CBTは試験問題の作成や試験の日時設定、会場やスタッフの確保に関して柔軟な対応が可能です。PBTの場合は、試験のたびに問題や解答用紙を作成・印刷し、原則的に再利用をすることはありません。また、受験者全員が同じ日時に受験するため、会場やスタッフをそれに合わせて確保する必要があります。そのような要因から、PBTの場合、年に何度も試験を開催するのは困難です。その点、CBTの場合には、問題をシステムに登録しておき、毎回の試験が同程度の難易度になるように問題を抽出する方式を取ることができます。共通の問題セットの用意や専用のテストセンターを利用することで、年間の試験回数を複数回に増やすことができます。
3.PBTとIBTとの違い
IBTは「Internet Based Testing」の略称です。CBTと同様にパソコンなどのコンピューターを使ったデジタルな試験方式ですが、それに加えてインターネットを利用したものとなります。インターネットに接続ができれば、パソコンに限らずスマートフォンやタブレットPCなどの端末を利用することもできます。受験者が試験会場に集まって試験を受けるPBTやCBTと違い、場所や時間の縛りもないため非常に柔軟性や利便性の高い試験方式です。ただし、IBTには公平性や不正行為のリスクといったデメリットがあります。
IBTでは各受験者が所持している端末を使って自宅で試験を受けるため、それぞれの端末のスペックや通信環境の良し悪しに試験結果が左右される可能性があります。また、試験中の来客や電話といった不測の事態も起こり得ることから、公平さを保つことが難しいといえます。そして何より、試験監督者の監視もなく持ち物の制限もできないことから、カンニングのような不正行為の防止が困難なのが難点です。IBTで公正に試験を行うためには、カンニング対策は必須となるでしょう。
このように、公平かつ厳格さが求められる試験にはIBTは不向きであり、PBTやCBTのほうが向いています。逆に、IBTの高い利便性が活かされる試験もあります。能力や資質をはかる試験や簡易的なテストの場合は、IBTの利点が役立ちます。
4.CBT・IBTと比較したPBTのメリットとデメリット
多様化してきた試験方式ですが、それでもまだPBTが採用されるケースが多く見られます。CBTやIBTに移行することを考えるなら、十分な比較検討が必要となるでしょう。ここでは、PBTのメリットとデメリットについて解説します。
4-1.PBTのメリット
PBTのメリットは、試験方法のシンプルさ、受験するときの環境が同じであること、受験者が全員同一の試験問題を解くため条件が同じになり公正になることなどが挙げられます。決められた日時に試験会場に行って筆記用具を使い、問題用紙に記入あるいはマークをするというシンプルさで、受験者が低年齢や高齢者であっても受験しやすい方式です。また、CBTやIBTであればパソコンなどの設備を揃える、システムを整える、不正などの対策をするといった新たな試験の運営方法を取り入れる必要があり、スタッフにもITの知識が必要となりますが、そのような負担もかからずに済みます。
コストの面からいうと、年に何度も試験が行えるCBTやIBTの場合、通年で試験の告知、販促活動をする必要がありますが、PBTであれば申し込み期間や試験日が限られているため、告知や販促も時期を限定して行えます。また、CBTの場合にはCBTを扱う業者が全国に試験会場を持っており、そこを利用する場合には受験者1人あたりいくら、という単価で料金が決まる場合が一般的です。PBTの場合には受験者の人数に関わらず、会場を利用する料金は一律となります。つまり、PBTなら1会場で受験する人数が多ければ多いほど、コストが下がります。
4-2.PBTのデメリット
PBTにはデメリットもあります。まず、年間の試験の回数が少なく、試験会場も限られていることが多いこと、つまり受験者にとって受験するチャンスが少ないことです。CBTやIBTと比較すると、柔軟性や利便性の面ではどうしても劣ってしまいます。コストなどの問題から1つの会場でなるべく多くの受験生を受け入れるため、遠方から移動して受験せざるを得ない人も少なくないでしょう。また、機会が限られているだけに、試験時に自然災害やパンデミックなどが起こってしまうと試験を受けられない人が多数出てしまい、その対応が困難になります。災害などの外的要因ではなくても、その日にたまたま体調が悪くなってしまったり、事故に巻き込まれてしまった受験者は、次の機会まで長期間待たなければなりません。
また、筆記用具で解答するというアナログな方式なので、試験結果を出し、合否の発表が出るまでに時間がかかります。それに加え、全員が同一の試験問題を利用しているため、公平ではありますが裏を返せばカンニングの問題が起きやすいということです。特にマークシート形式の場合には周囲の受験者の解答を見て、カンニングをしやすいという問題があるでしょう。
5.PBT試験のアウトソーシング
試験を運営するためには、試験の申し込みや受験料の回収、試験当日の準備と運営、試験後の採点やデータ処理といった多岐にわたるリソースが必要となります。そのため、各種の学校や資格試験を運営する団体では、人手不足やノウハウ不足を補うための試験運営のアウトソーシング(外注化)が進んでいます。PBTの試験運営を代行するアウトソーシングサービスも存在しており、申込みと決済のシステム化、受験者名簿や受験番号のデータ処理、問題用紙の冊子・解答用紙といった資材の印刷と準備、当日の会場とスタッフの手配まで、あらゆる運営の代行をしています。
もちろん、試験当日までではなく、試験後のマークシートの採点や、答案分析・合格者データの作成といった統計的な情報処理までを外注することもできます。試験運営に伴う、非常に煩雑で多くの人手や時間を要する作業をアウトソーシングすることで、リソース不足を解決することができるでしょう。
5-1.PBT試験のアウトソーシング事業者を選定する際のポイント
PBT試験の運営をアウトソーシングする場合、どんな点を意識して業者を選定するべきでしょうか。まず注意したい点は信頼に値する実績があるか、PBT試験の運営を深く理解していて、豊富なノウハウを持っているかといった点です。運営したい試験の規模や性質によっては、全国での試験に対応しているか、さまざまな方式の試験に対応しているかも重要なポイントでしょう。独自の研修で育成した試験監督者などのスタッフがいて、試験当日に質の高い人材を集められたり、試験会場に利用できる会場リストを持ち、柔軟な会場手配に対応できる業者ならなお理想的です。
PBT試験の運営委託・代行依頼をするなら
CBTやIBTとの違いを比較してメリット・デメリットを考え、試験にPBTを採用するかを決めましょう。多様な試験方式に対応できる試験運営代行業者がニーヴです。全国に独自に育成した試験監督がおり、その人数は13,000人にも上ります。「試験監督能力検定」の主催、運営を通し信頼できるスタッフを育て「安心・安全・快適な試験環境」を作っています。試験運営委託のことならどうぞお気軽にお問い合わせください。